FIRE TONG開発者たちの物語

火を操るためのトング

FIRE TONG 開発者たちの物語

″大きな薪も細かい枝もストレスなく操れる操作性″
焚き火トングの開発のゴールは、ここにありました。
焚き火では、重い薪を動かす力強さと、細い枝や熾火を扱う繊細さの両方が求められます。
それらの動作を一つの道具で解決するため、構造そのものを見直すところから開発が始まりました。

FIRE TONG 開発者たちの物語

開発背景

力を逃がさず伝えるグリップ設計

操作性を大きく左右するのがグリップ形状です。
開発初期から、「握った力をどう効率よく先端まで伝えるか」は大きなテーマでした。

複数の案を検証する中で、ストレート形状では力が途中で逃げてしまい、重い薪を安定して扱えないという課題が残りました。
そこで着目したのが、グリップ後部に角度を持たせる構造です。

角度を数パターン試作し、実際の使用を繰り返す中で、指が自然にかかり、力を逃がさず伝えられる “への字形状”にたどり着いています。

この形状によって、重い薪でもしっかりと掴める保持力と、操作時の安定性を確保しました。

さらに検証を進める中で、この形状をロック機構にも活かせることが分かりました。
グリップの動きに連動してクリップが移動することで、握る動作の延長でロック/アンロックが完結します。

操作と収納を切り分けるのではなく、一連の動作として成り立たせる。
そこに行き着くまでに、複数回の設計見直しを行っています。

「掴む」と「離す」を両立する先端形状

先端形状の調整は、開発期間10か月の中でも最も時間を要した工程です。

初期段階では保持力を優先した設計としていましたが、薪を掴んだ際に引っかかりが強過ぎ て、意図したタイミングで離せないという問題がありました。

逆に滑りを優先すると、今度は保持力が不足し、安定して扱えなくなりますこの相反する条件を解消するため、刃の角度、爪先のR、接触面の取り方を一つずつ検証し直しています。試作を重ね、わずかな差が操作感に大きく影響することが分かりました。

最終的には、掴むときには確実に保持し、離すときには余計な抵抗が出ないバランスに調整し ています。

強度と操作性を両立する板厚設計

板厚についても、開発の中で大きく見直しを行ったポイントです。

初期設計では1.0mmとし、軽さと扱いやすさを優先していました。
しかし試作検証の中で、薪を持ち上げた際のたわみやねじれが顕在化し、実用上の不安が残る状態でした。

強度を優先して板厚を上げると、今度は開閉時の負荷が増し、操作性が損なわれます。
このバランスを検証するため、板厚違いの試作を複数用意し、実際の使用環境で比較を重ねました。

その結果、強度・反発力・操作感のバランスが最も取れていた1.2mmに設定しています。
数値としてはわずかな差ですが、使用感には明確な違いが出るポイントでした。

火を操るための構造

構造面では、パーツ点数を増やさずに強度を確保することを前提としました。
複雑な機構を追加すると、重量や故障リスク、操作の煩雑さ、コスト上昇につながるためです。

検討の結果、ステンレス一体のモノコック構造をベースに設計を進めています。
面構成を見直しながら強度を確保し、同時に操作時のしなりや剛性のバランスも調整しました。

この構造によって、大きな薪を動かす際の安定感と、細かな操作への追従性を両立しています。

 

辿り着いた形

焚き火トング - TOKYO CRAFTS

焚き火トング - TOKYO CRAFTS

約10か月にわたる試作と検証の末、力強さと繊細さを兼ね備えた一本にたどり着きました。

先端には、小枝をつまめる精度と薪を保持する力を両立した複数刃形状を採用。
グリップ後部の“への字”構造によって、握力を効率よく先端へ伝えます。

さらに移動クリップ式のロック機構により、片手での開閉と収納が可能です。
全長約410mm、重量約217gというバランスに設定することで、長時間でも扱いやすい仕様としています。

複雑な機構に頼らず、形状と機能の一致をシンプルに成立させた結果、ようやく、開発当初に掲げた操作性、力強さと繊細さの両立を実現することができました。

焚き火トング - TOKYO CRAFTS

焚き火トング - TOKYO CRAFTS

焚き火トング - TOKYO CRAFTS

開発者メッセージ

力強さと繊細さという相反する操作を、一つの道具で成立させること。
その課題に向き合い続けた10か月でした。

キャンプをより快適に楽しむための一つの道具として、この焚き火トングがあります。
焚き火における一連の操作を、無理なく直感的に行えるよう設計しました。

火を自在に操るその操作感を、ぜひ体験してください。

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