LITE ROOK STAKE30開発者たちの物語
鋼の剛性を、アルミの軽さで。
ペグの常識を見直すために生まれた一本
キャンプ道具の中で、ペグは決して主役ではありませんが、テントやタープを安全に設営するためには欠かせない存在です。
私たちがこのペグの開発を考え始めたきっかけは、
″大型シェルターを設営するたびに、ペグケースの重さが気になった。″という実はシンプルなものでした。
例えば、TOKYO CRAFTSの2ルームシェルター「ウィングフォート」では、メインペグだけでも16本以上を使用します。一般的なスチール製鍛造ペグを揃えると、その重量は約3kg。撤収時には泥や水分も加わり、持ち運びの負担はさらに大きくなります。
もちろん、その重さには理由があります。鍛造ペグは高い強度を持ち、大型シェルターをしっかり支える安心感があります。設営の信頼性という意味では、長年キャンプシーンの定番として選ばれ続けてきた完成度の高い装備です。
一方で、長く使う中で気になることもありました。
本数が増えるほど重くなること。
そして、塗装が剥がれた箇所から発生する赤錆です。
手や幕、収納ケースを汚してしまうこともあり、「機能としては完成形に近い道具なのに、もっと快適にできる余地があるのではないか」と感じていました。
目指したのは「鋼の剛性を、アルミの軽さで」
軽量化を考えたとき、候補として真っ先に挙がったのはアルミでした。
一般的なアルミペグでは大型シェルターを支えるには不安が残ります。軽い反面、硬い地面や岩混じりのサイトでは変形しやすく、安心して使えるとは言い切れませんでした。
そこで私たちが着目したのが、ロケットや航空機の部品などにも使用される超々ジュラルミン「A7075」です。
アルミ素材の中でも最高クラスの強度を持つ特殊な合金であり、軽さを維持しながら高い剛性を実現できる数少ない素材。
目指したのは「鋼の剛性を、アルミの軽さで」。
強度を犠牲にすることなく装備全体を軽くする、新しいスタンダードをつくりたいと考えました。
最大の壁は「A7075を300mmで鍛造する」ことだった
理想の素材が見つかり、そこからが本当のスタートでした。
A7075は高い強度を持つ一方で加工難度が非常に高く、さらに今回は大型シェルター向けとして300mmの長尺サイズが必要でした。
開発初期には、鍛造後にペグが反ってしまう問題や、成形精度が安定しない問題が発生。金型の作り直しも複数回行いながら、鍛造温度や加工条件、後処理の方法まで一つひとつ見直していきました。
実際に鍛造メーカーへ足を運び、試作品を確認しながらその場で改善策を議論することも少なくありませんでした。
開発チームだけでは解決できない課題ばかりでしたが、信頼できる鍛造メーカーとの試行錯誤を重ねることで、ようやく量産化への道筋が見えてきました。
軽さと剛性。
どちらかを取れば、どちらかを失う。
その二律背反に向き合い続けたことが、このペグの開発そのものだったと言えるかもしれません。

(画像:ファーストサンプル品)
客観的な強度証明への挑戦
開発を進める中で、私たちが最も重視したことのひとつが「本当に安心して使えるのか」を客観的に証明することでした。
軽いことは魅力ですが、その代わりに曲がりやすいのではないか。大型シェルターを支えるには不安があるのではないか。アルミペグと聞くと、多くの方がまず強度を不安視するのは私たちも同じでした。
その疑問に明確な答えを持てないまま製品化するつもりははく、開発初期の段階から、公的試験機関による強度試験を実施することを決めていました。
実施したのは3点曲げ試験やビッカース硬さ試験など、市販されているスチール鍛造ペグやアルミ鍛造ペグとの比較を含めた検証です。

その結果、本製品は市販アルミ鍛造ペグを上回る剛性値を記録し、スチール鍛造ペグに肉薄する結果を得ることができました。
さらに最大耐荷重試験では5.07kNを記録。数値だけでなく、実際の使用環境でも安心して使用できる性能を確認しています。
また、試験室のデータだけではなく、牧草地のキャンプ場や河原サイト、岩が混じる地面など、さまざまな環境でフィールドテストを実施。通常使用では想定しないような厳しい条件でも打ち込み試験を繰り返し、耐久性や使用感を検証しました。
公的試験機関による客観的なデータと、実際のフィールドで積み重ねた検証。その両方を経て、ようやく自信を持って送り出せる仕様へたどり着きました。

(画像:強度試験の様子)
設営だけではなく、撤収まで快適に
開発を進める中で改めて感じたのは、ペグの価値は打ち込む瞬間だけで決まるわけではないということでした。
キャンプでは必ず撤収があります。
設営が快適でも、最後の片付けが大変であれば、その日のキャンプ体験全体の満足度に影響します。
そこで私たちは、撤収作業の快適さについても見直しました。
ひとつがフック穴の形状です。
一般的な丸穴では、ペグハンマーのペグ抜き部分が奥まで入りにくいことがあります。そこで穴を縦長形状に変更し、確実に差し込める構造へ改善しました。
もうひとつが、本体断面の楕円形状です。
ペグを抜く際に少し回転させるだけで地面との抵抗が減り、引き抜きやすくなります。
見た目では気付きにくい違いかもしれません。しかし実際に撤収作業を行うと、その差ははっきりと体感できます。
設営の質だけではなく、撤収の質まで含めて装備の価値を考える。
その考え方は、開発を進める中で改めて重要だと感じたポイントでした。
軽量化がもたらす、本当の価値


重要だったのは、軽量化によってキャンプ体験そのものを快適にすることでした。
本製品の重量は約65g。国内主要メーカーの30cmスチール鍛造ペグと比較すると、約3分の1の軽量化を実現しています。
例えば大型シェルターで20本前後使用した場合、ペグだけで約1.9kgもの差が生まれます。
数字だけを見ると小さく感じるかもしれませんが、実際にペグケースを持った瞬間、その違いははっきりと分かります。
多くの方が最初に感じるのは、「軽さ」だと思います。実際を手に取った際、最初の驚きかもしれません。
そして実際に打ち込むと、「軽いのに、しっかりしている。」と感じるはずです。
私たちが届けたかったのは、まさにその体験でした。
さらにアルミ素材であるため赤錆が発生しません。何度水洗いしても、長期間使用しても、スチール製ペグのように錆を気にする必要がありません。
TOKYO CRAFTSのエアドライペグケースと組み合わせれば、使用後にそのまま水洗いして乾燥させるという使い方もより快適になります。

たどり着いたのは、“軽さを我慢しないペグ”


軽くなること。
長く使えること。
メンテナンスが楽になること。
その一つひとつは小さな変化かもしれませんが、積み重なることでキャンプの快適さは大きく変わります。そして設営から撤収までの快適さ。
それらをできる限り高いレベルで両立させることを目指しました。
ペグはキャンプ道具の中では脇役かもしれません。しかし、テントやタープを支える重要な装備であり、設営や撤収の快適さを大きく左右する存在でもあります。
だからこそ、本気で向き合う価値があると考えたどり着いたのが「ライトルークステーク30」です。
開発者メッセージ
「鋼の剛性を、アルミの軽さで。」
このフレーズは「ライトルークステーク30」を開発した理由そのものです。
大型シェルターを安心して支えられる強度はそのままに、装備全体をもっと軽くしたい。その想いから、素材選定から加工方法、強度検証に至るまで、何度も試作と検証を繰り返してきました。
手に取った瞬間の軽さや打ち込んだ瞬間の安心感、撤収時の快適さ。
そのすべてを体感していただけたら嬉しく思います。このペグが、キャンプ道具の新しい選択肢になれば幸いです。
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